運動を取り組んでいても上手くいかず運動に消極的なケース

【事例】

5歳児のA君は運動が苦手です。運動遊びの時間になると、先生に声をかけられると活動に参加しますが、自ら運動遊びをしようとしません。運動遊び中も平均台から落ちたり、跳び箱も中々越えられません。集団遊び(鬼ごっこやボール遊び)なども参加しようとせず、先生が声をかけると少し参加しますが、すぐに友だちとお話しを楽しんだり、砂場あそびなどをしています。お休みの日も公園にはあまり行きたがらず、お家でゲームをしたり、動画を見るなど外遊びを好みません。

【支援のポイント】

先生は、A君の苦手意識は果たしてどこからきているのか考えました。平均台から落ちた経験、みんなは越えられるのに自分だけ越えられない、鬼ごっこをしてもすぐに捕まえられる等、失敗したり悔しい経験が沢山ありました。そこで、先生はA君が成功しそうな活動を取り入れ、選択できるようにしました。例えば、平均台と綱の上、どちらか好きな方を選び渡ります。鬼ごっこを宝物探しに変更したり、ボール遊びも投げる、蹴るの他にボール運び等のゲームを追加したりし、A君も興味を持って楽しさを感じられるよう工夫しました。 このことにより、A君は失敗する経験が減り、成功体験が増えるようになってきました。そのため、運動に参加することが楽しいと感じられなるようになり、活動に参加する回数が増えてきました。

【家庭でできること】

お家で遊ぶことが多いA君には、遊具の沢山ある公園を選び、A君が興味を持った遊具(ボールや縄跳び、フリスビー等)を持っていきました。固定遊具は親子で一緒に滑り台やブランコを楽しみ、楽しい経験を積み重ねるようにしました。遊んだことがない固定遊具も恐怖心が沸かないよう、無理なく親子で挑戦し、挑戦した後の喜びを親子で分かち合います。A君が興味を持った遊具では、先ずはA君が好きなように遊ぶことを尊重し、出来たことを褒め、コミュニケーションを図りながら楽しく遊んでいきます。

【まとめ】

結果として、 ・A君は失敗経験を重ねる(活動に参加する)事により運動に対する苦手意識が強くなり、結果的に運動に対する意欲が減りました。 ・A君は成功体験を重ねる(活動に参加する)事により自己肯定感が高まり、運動に対する意欲が高くなりました。 このように、成功体験を増やしていくことにより、活動自体への参加意欲が高まり、A君の世界観と社会性が広がるとともに、運動だけでなく様々な事に挑戦できるようになります。

執筆:城本有理