【取材】「物事を思いつきで終わらせず、実現する力がつく」マインドマップが家族のつながりと子どもに与える影響について
皆さんはマインドマップという言葉を聞いたことはありますか?
日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれません。イギリス人著述家のトニー・ブザン氏(Tony Buzan)が、1970年前後に考案した、頭の中で考えていることを独自のルールに沿って書き出しをすることで、記憶の整理・定着、物事の理解力の向上、新たなアイデア発想につながるという方法です。
今日では世界中で使用され、ビジネスパーソンや教育関係者を中心に注目を集めており、授業に取り入れる学校や、研修や会議手法などに利用する企業も増えています。
なぜこの度、マインドマップに着目したのか?
それは、作成したマインドマップを共有することでお互いの発想や価値観を知ることができ、その結果家族の相互理解につながるコミュニケーションツールとしても機能すると考えたためです。
そこで今回は香川県を拠点としてご活動されているマーケティング・広告宣伝の専門家 大鹿一也さんにマインドマップにおける家族のつながりと子どもに与える影響についてお話を伺いました。
大鹿一也(おおしか・かずや)
マーケティングコンサルタント・コピーライター
香川県高松市を拠点に、マーケティング・広告宣伝の専門家。コピーライターとしても活動中
800件以上の取材を実施した元編集者。制作した書籍はAmazonカテゴリーランキング1位を獲得。
食品の開発営業も経験し、大手コンビニのプライベートブランドを10品以上手がける。
現在は培ったキャリアにマーケティングのスキルをかけ合わせ、起業家や中小企業の売上UPに貢献すべくビジネスを展開中。
「誰でもどこでもいつからでも、才能を100%発揮できる人を増やす」が自身の活動ミッション。
大鹿 一也 公式ブログ 【UDON copy writer】 https://shikashika1969.com/
365日更新note/毎月先着3名・起業家向け無料コンサルティング実施中
◆編集者時代に見よう見まねでメモ帳に書いて、現在は提案もマインドマップ〜マインドマップの出会い〜
――まず、マインドマップとの出会いについて教えてください。
大鹿 : 編集者時代は常に毎週企画をいくつも考えることがあり、そのようなときにマインドマップを知り、見よう見まねでメモ帳に書いて使っていました。
その時はコツとか全く分からず、連想しやすいと思っていました。
また、自分で仕事を始める2年前くらいに勉強していた時期にブログを開設しました。
その時の挫折経験もあり今に至るのですが、情報をまとめる・分解する時にマインドマップを使っている人が多いと聞き、そこから私も使うようになりました。
――マインドマップ実施前のアイデア出しはどのように行っていましたか?
大鹿 : アイデアの作り方に関する本があり、大きくまとめると、ありとあらゆる様々な情報を紙に1回出力して可視化する。その後1日放置すると頭の中で整理され、情報が勝手につながると、ざっくりとしたことを書いてありました。
基本的にいろんな情報を集めて一回寝かせておきながら、当時は川を沿いながら帰っていたのですが、そこでアイデアが浮かんだりすることが多かったですね。
――マインドマップに出会って実際のアイデア出しはどのように変わったのでしょうか?
大鹿 : 具体的に考えられるようになりました。
マインドマップを使ってちょっとした思い付きがどのように実現するようになるか。ということを考えるようになりました。
繰り返していると抽象的な力を伸ばしていけること。そして具体への分解がしやすくなると思います。
――ご自身のコンサル業で対お客様にマインドマップの導入や活用事例のご経験はありますか?
大鹿 : 提案をマインドマップですることが多いですね。アウトプットをする時にマインドマップに図式化して「こういうのはどうですか?」と見せることもあります。
とある凄腕のコンサルタントさんは、マインドマップを面談中や打ち合わせ中、商談中に即興で書いて、最後に渡すことがあると聞いたことがあります。
そうすると頭の中で整理されて仕事が取れるみたいな話を聞いた事があります。
◆家族それぞれがどう思ったのかが分かり、価値観や感じ方の再発見ができる機会になる~家族・パートナーシップにおけるマインドマップ~
――ビジネスでの使用方法についてお話しいただきましたが、家族におけるマインドマップの有効活用方法について教えてください。
大鹿 : 例えばですが、映画を観てみんなで感想をマインドマップにまとめると、家族それぞれがどう思ったのかが分かり、価値観や感じ方の再発見ができる機会になるのではないかと思います。
また、家族会議でよく議題として挙げられそうな「家を買う・買わない」「どこかに行く・行かない」などの意思決定の場でも活用できそうですね。
マインドマップを活用すれば具体的なポイントが可視化され、より良い意思決定に向かいやすくなる効果があると感じます。
お子さんに対しては、子どもは具体的にわからないことをわからないと言えない事が多いと思います。例えば算数がわからないとか、ザックリとしていて、抽象的な「わからない」しか言えないと思うのです。マインドマップを使って何がわからないのか、を具体的に掘り下げるなどいいかもしれませんね。
後は家族紹介でも使うことができますね。うちの家族はどんな家族ですか?と紹介する時にみんなでマインドマップにまとめる方法もありますね。
1ヶ月に1度家族でマインドマップを使用する時間を設けるなどして、同じ時間を過ごすきっかけになればと思います。
――家族との結びつきについてマインドマップはどこまで効果的なツールとなるとお考えでしょうか
大鹿 : 私の家族では、話していると「(私の考え)言わなくてもわかっているよね?」が前提で話されていることがあり、聞き手がその人の考えがわかっていないのに話が進んでいることが多くあります。
マインドマップで一度客観的に見て、本当に言いたいことや理解してほしい具体的な部分や話をまとめてコミュニケーションしていただけると非常に家族の仲の改善に役に立つのではないかと感じます。
◆コミュニケーション能力にも違いが現れる〜子どもにおける影響
――子どもがマインドマップに触れることで見えてくる将来の可能性や広がり方についてどう思いますか?
大鹿 : 物事をインプットする力とアウトプットする力の精度が高くなると思います。
例えば教科書を読んでよくわからないところに対してマインドマップを作って落とし込むことで、抽象的と本質が見えてくる。自分で使う時に応用できることで知性が高まると思います。
子どもの頃は授業で学んだことをノートにまとめますが、具体的な書き方を習わない中でノートを取るため、振り返った時にわかりにくいまとめになることも多いかもしれません。
マインドマップでまとめると使っているうちにルールを覚えますし、1枚にまとめるので非常にまとめやすいのかなと思います。
――幼いころからマインドマップに触れている、実践している人と実践していない人とではどのような違いが現れると思いますか?
大鹿 : 大きく言うと、コミュニケーション能力にも違いが現れるかと思います。
自分の言いたいことを相手が理解できるようにしっかりと伝えられることは個人的に大切だと思っていて、そうすると物事の要点がポイントになります。
自分が伝えたいことの要点を自分が認識しているのか、相手が理解できる具体的な話しに置き換えるなどが必要になってくると思います。
まさに抽象と具体を行き来する力がマインドマップで身につけることができると思います。
――小学校卒業・高校受験など、将来の夢や進路を考えるタイミングでマインドマップを取り組むことにより与える影響についていかがでしょうか?
大鹿 : 自己分析をマインドマップで実施するのもいいと思います。
例えば、周りの人がみんな工学部に進んでいるから工学部に行く。みんなが岡山から大阪の大学に行くから大阪にある大学に行こう。という考えになる前に、「なぜ自分は行くのか?」という部分を掘り下げていくことは大切です。
自分の目的や誰と一緒にいたいのか、どういう人間になりたいのか。といったことを自分の進路を考える時に自分の人生を具体化していくのにマインドマップを使用すると自分と向き合えるのではないかと思います。
◆1番大切なことは「自分にとってのなんで?」に答えていくこと~今後のマインドマップの存在意義~
――様々な自分探しや自己認知の方法が書店やネットに溢れる中で、マインドマップはどのような効果・役割を果たすと思いますか?
大鹿 : 基本的に他人のバイアスなど影響を忘れて自分と向き合えるのがマインドマップの大きいところかなと思います。
――ご自身でマインドマップを作成する上での秘訣やコツがあれば教えてください
大鹿 : マインドマップで1番大切なことは「自分にとってのなんで?」に答えていくことだと思います。
物事は基本抽象的で曖昧なものなので、どんどん自分の「なんで?」を掘り下げて具体的にしていくことが1つのポイントであると自分で使っていて思います。
あとは、とりあえずやってみよう。ではあるのですが、取り組んでいると精度は上がっていきます。
――最後に、大鹿さんにとってマインドマップはどのような意味を持ちますか?
大鹿 : 物事を思いつきで終わらせず、実現する力がつくというのがマインドマップなのではないでしょうか。
今回は、今までご自身で数多くのマインドマップを作成・活用しながら現在もご活躍されている大鹿一也さんに取材を実施しました。
マインドマップは家族の価値観や感じ方の再発見に限らず、自分の中にある抽象的部分を具体的に掘り下げることで、より良い意思決定につながること。
物事をインプット・アウトプットする精度が高まり、学習にも応用できること。
そして、自分の伝えたいことを相手にも理解できるように伝えるコミュニケーション力にもつながる。など、幅広い役割と効果をもたらすことがお話から知ることができました。
今回インタビューと同時にマインドマップについての理解を深めるべく、私たちも研修を大鹿一也さんから学ぶことにしました。
なぜ私たちがマインドマップの研修を受講したのか?
それは、子ども・保護者・性別や年齢に関係なく、もっと多くの家族の笑顔を豊かにするためのきっかけ・手段を知り、このマインドマップを私たちがより理解することで、今までとは別の視点や方法できっかけづくりを行うことができるのではないか。と考えたためです。
今日まで私たちは家族向けボードゲーム体験イベントや保育士を対象とした研修を主に行ってまいりました。
しかし、上記の取り組みだけでは、「家族の笑顔を豊かにする」を実現できる範囲に限度があります。
実際に研修を受けて、マインドマップを作成する時に文字だけではなく、イラストを加えながら、様々な色を使ってカラフルにすることで視覚的イメージがしやすく、見た目も楽しみながら取り組めるのではないかと感じました。
自分の中のモヤモヤ・わからないに向きあう時はしんどい気持ちを感じたり、億劫になることもあるかもしれません。そのようなときもマインドマップを使用することで、ネガティブが気持ちより、楽しい気持ちを感じながら取り組めるのではないかと思いました。
マインドマップには価値観の共有に限らず、自分にとってのなんで?に1つ1つ答えながら、より良い決断やコミュニケーションへとつなぐ力があり、その人の笑顔につながることで私たちが大切にしている「家族の笑顔を豊かにする」
より良い決断をする背中を押してくれることで「心の健康を維持しながら、未来へチャレンジする勇気」を可能にする1つの手段として非常に有効であると考えています。
1人でも多くの笑顔につなげる。その笑顔が周りに広がり、家族の笑顔と豊かさにつながる。そのきっかけ作りを今後も様々な方面から続けていきたいと思っております。
大鹿一也さんとマインドマップとの出合いに大変感謝しております。
改めて、大鹿一也さん、今回は貴重なお話しをありがとうございました。
(取材・文 : 髙橋 純平)